2008年09月17日

後退なき典礼改革

 9月12日フランス訪問途上、飛行機の中でのジャーナリストの質問への回答において、教皇ベネディクト16世は、1962年版ミサ典礼書(旧典礼書)の使用条件を緩和した自発教令「スンモールム・ポンティフィクゥム」は第二バチカン公会議に始まる典礼改革からの退行ではないと明言している。この話題はCJC通信には取り上げられていない。ま・ここっとさんが触れているかと思ったら、ZENITの該当記事にリンクして、「B16が1962ミサを見直したことで「懐古主義」という箔を貼るのはどうやら早合点のようである」と正しくコメントしている。
http://malicieuse.exblog.jp/9492726/


 ここでは、肝心の部分を以下の記事を元に、ご紹介しよう。
http://www.zenit.org/article-23604?l=english
http://www.zenit.org/article-18792?l=french

質問 フランスでは、「スンモールム・ポンティフィクゥム」は第二バチカン公会議の意向からの後退を指図していると恐れる人たちがいますが?


ベネディクト16世 それは根拠のない恐れです。なぜなら、自発教令「スンモールム・ポンティフィクゥム」は単に、古い典礼において形成され、この典礼を愛し、熟知し、それと共に生きたいと思っている人々のための司牧的目的を持った、寛容の行為だからです。それは小さなグループです。というのも、ラテン語の形式、特定の文化における形式を前提にしているからです。しかし、これらの人々に愛を持ち、古い典礼と共に生きることを許す寛容性を持つことは、私たちの教会の司教たちの、信仰と司牧の当たり前の要求だと思います。第二バチカン公会議によって刷新された典礼とこの古い典礼との間にどんな対立もありません
 毎日、公会議の司教たちは古い司式に従ったミサを挙げました。と同時に、彼らは、今世紀における典礼の自然な発展を確信していました。というのも、典礼は生きた現実であり、自ら発展し、発展の中で自らの同一性を保持してきたからです。したがって、強調点の違いはありますが根本的な同一性があり、改革された典礼と以前の典礼との間の矛盾や対立を排除しています。両者は相互に強めあう可能性もあるでしょう。古い典礼を愛する側は、新しい聖性、典礼の新たな面を知りえますし、知らなければなりません。他方、新しい典礼は、共同の参加をより強調していますが、それは単に、一定の共同体の集まりなのではなく、全時代の全信徒との交わりの中にある、普遍的な教会の行為であり、礼拝行為なのです。
 この意味で、相互強化があるように思いますし、刷新された典礼が私たちの時代の通常の典礼であることは明白です

 一部のピオシンパのような伝統原理主義派の中には、典礼刷新そのもの、第二バチカン公会議そのものの否定を夢見て、自発教令「スンモールム・ポンティフィクゥム」を、公会議前への回帰の前哨と位置づける者もいる。しかし、それはまったく根拠のない主張であり、この記事に限らず教皇の常日頃の意向に反している。そもそも自発教令自体、第一項で「パウロ六世が発布したローマ・ミサ典礼書はラテン典礼のカトリック教会の「祈りの法(Lex orandi)」の通常の表現」「これに対して、聖ピオ五世が発布し、福者ヨハネ二十三世があらためて発布したローマ・ミサ典礼書は、同じ「祈りの法」の特別な表現」と明確に規定している。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/benedict_xvi/bene_message243.htm
 自発教令とともに出された全世界の司教への手紙でも、同じことがより詳細に述べられている。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/benedict_xvi/bene_message242.htm

この文書は第二バチカン公会議の権威を損なうのではないか、すなわち、第二バチカン公会議の根本的な決定の一つである典礼改革を疑問視するものではないかという不安があります。この不安は根拠のないものです。この点に関して、第一にこういわなければなりません。すなわち、パウロ六世が発布し、その後ヨハネ・パウロ二世が二つの版で改訂したミサ典礼書が感謝の祭儀の「通常の形式(Forma ordinaria)」であり、今後もそうであり続けることは明らかです。これに対して、教皇ヨハネ二十三世の権威のもとで1962年に公布され、公会議中も使用された、公会議前のローマ・ミサ典礼書の最終版は、典礼の「特別な形式(Forma extraordinaria)」として用いることが可能です。ローマ・ミサ典礼書のこの二種類の版があたかも「二つの典礼」であるかのようにいうのは適切ではありません。むしろそれは、唯一かつ同一の典礼の二通りの使用だというべきものです。

 これを読むと、上述の教皇の回答が、「スンモールム・ポンティフィクゥム」で提示した考えの延長上にあることが分かる。すなわち、旧典礼と新典礼は根本的に同一であり、後者は前者の自然な発展であり、それゆえ、新典礼はこんにちにおけるミサの「通常形式」である、という意向において、教皇ベネディクト16世にゆるぎはない。
 逸脱の見られる現行の典礼状況をどう正常化するかは、また別の問題である。ピオシンパのような一部の伝統原理主義者は、現実に存在する問題に対して、第二バチカン公会議と典礼改革の否定という、間違った処方箋を出しているに過ぎない。

(文責・金田一輝)



posted by kanedaitsuki at 12:00| Comment(5) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「新ミサ=通常形式」
「旧ミサ=特別形式」

実にわかりやすい。何も損なわずに双方を生かすことができます。新ミサ典礼書を発布した時点で、パウロ6世がこういう位置づけを明確にして下さっていれば、と思うといささか残念です。当時そうしていればSSPX問題も起きなかったかもしれません。

ともかく、「旧ミサ=特別形式」という公的位置づけがなされたのですから、これを活用してもらいたいですね。現行の新ミサは、規範版どおりに挙行するなら問題があるとは思えませんが、「適応」や「創造」を無思慮に行うところに逸脱が生じているのです。旧ミサが恒常的に挙行されていれば、くだらない典礼パフォーマンスなど、こっ恥ずかしくてやれるものではなくなるに違いありません。
Posted by Gregorius at 2008年09月19日 00:50
Gregoriusさん、コメントありがとうございます。

 旧ミサの使用条件緩和と新ミサの正常化、これは典礼をより豊かなものにするための車の両輪だと思います。Gregoriusさんのおっしゃる通り、旧典礼のより頻繁な執行によって、新典礼の執行に良い影響を与えるということも、現教皇の念頭にあることなのでしょう。
 要すれば、一方で、旧典礼こそ真の典礼と主張する伝統原理主義者と、他方で、新典礼こそ真の典礼と主張するリベラリスト、その双方を穏やかに退けるということが、現教皇の意向なのだと思います。
Posted by kanedaitsuki at 2008年09月19日 18:34
ブログ主さんについて、カトリック信者ではない、と発言されている方がいますが、ブログ主さんは既にカトリックの洗礼をお受けになっていらっしゃるのでしょうか。

それとも、まだ未洗礼なのでしょうか。

お教え頂けましたら、幸いに思います。
Posted by 質問 at 2009年09月14日 01:48
 まず、以下の記事をお読みください。

「投稿ガイドライン」
http://defencecatho.seesaa.net/article/74890506.html

>>
以下の行為は削除対象ではありませんが、控えてください。
(・・・)
・「通りすがり」のような、いわゆる捨てハンの使用
<<

 「質問」はこれに該当します。
 今後、同様の捨てハンを使用することは控えてください。
 個人のブログは個人の家と同じです。相応の態度をしない方を、私は客人とみなしていません。


 次に以下の記事をお読みください。

「不信仰者の信仰告白」
http://defencecatho.seesaa.net/article/68275539.html

 簡単にひとに質問する前に、時間をかけて当ブログの記事にいろいろ当たってみてください。この件は何度も何度も何度も書きました。

 以上。
Posted by kanedaitsuki at 2009年09月16日 22:03
済みません。
ブログを拝見したこと自体、前回が初めてでしたので。

わかりました。

あの、お尋ねさせて頂きたいのですが、
ピオ十世会の小野田神父様は、どの司教様から司祭に叙階されたのか、わかりますでしょうか。

司教叙階を無効とされた方から受けたのか、それとも、離別前に既に司教に叙階されていた方から受けたか、また、その司教様が破門されていた期間中に受けたのか、それとも破門される前に叙階を受けたのか、で違ってくると思いまして。

もしご存知でしたら、教えてください。
Posted by 質問 at 2009年09月17日 13:53
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