2007年11月04日

Allyne Smith,etc"The Philokalia: The Eastern Christian Spiritual Texts--selections Annotated & Explained"

裏表紙より。


四世紀から十五世紀までの修道僧の著述を集めた「フィロカリア」は、東方教会の聖書の解釈を他のものよりよく写し出している。簡単に訳せば、このタイトルの意味は「美への愛」であり、私たちのすべての感覚を総動員した礼拝と祈りのための神秘的かつ観想的実践を反映している。
この「フィロカリア」の知恵への入門書は、今までギリシャ語やロシア語からの学術的訳で一般の読者に敬遠されてきた文書を明るみに出している。アライン・スミスは五巻を通して浮かび上がってくる七つのテーマ(悔悛、心、祈り、イエスの祈り、熱情、静寂、神化)に絞って練りに練った選別をしている。スミスの啓蒙的で、ページごとにあって把握しやすい註釈は、歴史的・精神的文脈に満ち、救いについての東方的理解を含む枢要な教えを明かしており、観想的祈りのような現代的実践に結びつけている。
今、あなたは「フィロカリア」の霊的知恵を経験することができる、たとえあなたが東方キリスト教についてこれまで知らなかったとしても。このスカイライト・イルミネーション版は、この愛すべき書物を通した旅にあなたを連れて行き、東方の修道僧の教えが、本質において神であるところのものに、恵みによってあなたがなることに資するだろう。


「フィロカリア」は、カトリックで言えば、十字架の聖ヨハネやアビラの聖テレサ、あるいは『キリストにならいて』などのような、神秘家による霊的修養書を、ひとつにまとめたものであると言える。もともとは、正教会の霊的中心地であるアトス山の修道僧、ニコディモスとマカリオスが、観想的伝統の復興を願って十七世紀に編纂したものである。以後、各国語に訳され、正教会教徒のみならず、他のキリスト教徒や異教徒にまで精神的影響を及ぼしている。
このスミス版は、五巻にものぼる「フィロカリア」から重要箇所を、七つのテーマに従って200ページほどの本に抄録したものであり、見開きごとに右に本文、左に註釈を入れたスタイルで、非常に読みやすくなっており、かっこうの入門書と言えよう。さらに進んで学びたい方は、Faber & Faberによる完訳版がある(現在4巻まで出版されている)。
月並な感想ではあるが、ここで説かれている観想法は、仏教などの東洋的瞑想法に驚くほど似ている。頭を垂れて臍のあたりに目を向けよ、などというヨーガのような指示まである。身体を使った修行を強調したり、精神を落ち着けて、概念やイメージを取り払うことを奨めるところなど、まるで座禅である。これらの修行の究極目標は「神化」(テオーシス)であるが、仏教ならば「成仏」と呼ぶ所だ。
とはいえ、安易に宗教的類似性を持ち出す必要はないだろう。それは理解の助けになることもあれば、妨げになることもあるからだ。あまり知られていない東方の霊性の豊かさをここに確認できれば、おそらく十分なのである。

(文責・金田一輝)




posted by kanedaitsuki at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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